刑務所という猿の惑星は、怖いところです

午前か午後30分ほどです。雨天は工場内の散歩です。

ラジオ体操のあとは、兵隊たちが心を許し相談しあう場です。


運動場にいくと高い塀があります

運動の時間になると
「作業やめい」の号令で作業を中止し、エプロンを外して姿勢を正して指示を待ちます。
班ごとに移動の指示がありますので、通路に整列していきます。
整列が終わると点呼です。
点呼が終わると出口に向かって進みます。
出口を出ると駆け足で100メートル先の整列位置に進みます。


皆がそろうと前へ習えをして整列です。
そして駆け足で、グランドへ向かいます。


足や腰の悪いものは最後列に行き、ついて行きます。
猿人が50メートルほど離れてハンドマイクで、
行進の号令をかけます。
「前へ 前へ」 [左 左」・・・・適当です。


グランドにつくと
「ゼンターイ止まれ」・・・・・
そしてまた点呼です。


点呼が終わると、体操担当の兵隊と朝礼でも目標唱和した兵隊が前にでて、
体操の体型に開きます。
そしてラジを体操です。


ラジオ体操が終わると、一旦元の体形に戻り、
エンジンの掛け声で自由に散って行きます


駆け足でグランドを回るもの。
何人かで話しながら散歩するもの
腕立て伏せをするものなど様々です。
キャッチボールをするものもいます。


倉庫よりゴザを持ってきて、
グランドの日陰などに敷、そこで談話したり将棋をするものもいます。


爪切りの箱が置いてありますので、
名札と引き換えに爪切を借りて爪をきることができます。

小便をするものもいます。
夏は冷たい飲み物を一人コップ2杯まで飲めます。


運動会、ソフトボール大会などの前は、ここで練習をします。
ここは、塀の2、3メートル前に白線が引いてあります。

高い塀があります。
ここが猿の惑星だとわかります。


運動が終わると整列して工場に帰ります


5分前に笛がなります。

ゴザや運動用具を倉庫にしまって、集合位置に集まります。
集合位置に集まったとき、ジョギングの格好で足ふみしている新人がいました。
猿人が「お前は何をやってんだ」
と恫喝します。
新人は「足ふみしています」
すかさず猿人は、
「そんなことしていいのか」
「はい、まだ運動の時間ですから」
これで猿人が切れました。
「おお、そうかい、覚えていろよ」


工場に帰ると、
その日の内です。
夏でしたからトイレ休憩の時、1人2杯までスカリが飲めます。
この新人どうやら会話からして分からずに2杯半飲んだようです。
この時も猿人は切れていました。
つぎの休憩のとき、
どうもメガネを自分のテーブルに置かないで離席したようです。
すぐに処遇(警察)が来て連行です。
猿人の思い達成できました。
おもくあの兵隊は皆、よく見ています。
これが猿の惑星なのです。
猿人に逆らうと規律違反で処遇(警察)行きです。
何度も処遇にいくと仮釈放がなくなります。
これが怖いから、皆おとなしくしているのです。


万引きが多いですね

本を万引きした罪で懲役8ヶ月という30前後の男が入ってきましたが、
半年もしないで仮釈放で出所しました。


68歳になるという初老の男です。
タバコを1箱万引きして1年半の実刑です。
妻子はいませんが、身元引受人は実の兄がいます。
本来ならもう仮出所の頃です。
出所後は兄の経営する工事会社で働くつもりです。


体は元気そうですが、耳は難聴です。
すこし痴呆がでているようです。
猿人にはわかりません。
軟調なので猿人の言葉が聞こえていませんが、彼はそのことを猿人に申告していません。
猿人にしてみれば、無視されたようで面白いはずがありません。
ある日帰寮で風呂がある日でした。
彼の行進態度が悪いと言って、恫喝します。
彼は、とうとう歩きながら尿を漏らしてしまいました。


猿人は少しも慌てません。
兵隊に「おい、だれか風呂の前に洗ってやれ!」
当然、言われた若い兵隊は洗ってやります。
他の兵隊は見ぬ振りをします。
ここは猿の惑星です。
囚われの身では、どうしようもありません。
猿人をなじれば処遇(警察)行きです。
心が傷つきます。



工場でも、耳が聞こえないので、作業手順がわからないのだと思います。
作業ペースが少し遅いので、猿人が恫喝して注意します。
彼にとっては、猿人が喚いているとしか見えていません。
無視された猿人はついに警察(処遇)を呼びます。
彼は二度と工場に戻ってきませんでした。


何度も処遇に行かされると、受刑態度が悪いという評価で仮出所はありません。


若い親不孝をしている猿人には、
初老の親を見ていないので、
難聴とか痴呆の症状がわからないのです。
娑婆で社会生活をしていると、冷たい世間でも誰かが症状に築いて、
庇って挙げられます。
また治療のアドバイスもできます。
ここにいる、おもちゃの兵隊はそれがわかっていても誰も手を差し伸べることができません。
まさに猿の惑星の囚われの身なのです。


ここに長くいると猿人に洗脳されて、そんな感覚もなくなるそうです。
しばらくはそんな話題でいっぱいです。
刑務所という猿の惑星は、怖いところです。


やくざ屋さんの二代目もいます

親父さんは山口組系の組長でしたが病気でなくなりました。
今も、新宿と群馬県内に縄張りをもっています。
兵隊はまだあどけない20代のボンボンです。
何をしてここに来たかは書けないほどしょぼい犯罪です。
おおよそやくざとは関係ないので本人の名誉のために書きません。


兵隊が組長の息子であることも隠しています。
ここの猿人は知っていると思います。
組関係の者は仮釈放が受けられませんので、兵隊は隠してします。
組長といても、生活は優雅ではありません。
母親は生活保護で暮らしています。
入所してすぐに手紙を出しましたが返事がないので心配していました。


母親のために出所したら組長の跡目を継ぐ意思です。
ここには山口組系の関係者がたくさんいます。
見ていると彼らが、アドバイスをしているようです。


生活保護や家族への連絡方法などは相談に乗って上げましたが、
出所後の生活をこうしろとは言えませんでした。


工場のほとんどの兵隊は彼が山口組系の組長の息子とは知りません。
だから共同室で1部屋に6人から8人くらいが一緒にする雑居房でしたが、
部屋の者が平気でいじめます。
彼は1人部屋の独居房に移りたいと言います。
猿人に申し出たのですが、もうすこし待てです。
彼は我慢できません。


どうするか、何人かが賢いアドバイスをします。
雑居でのルール違反をすればいいのです。
簡単です。
大きな声を出すとか
他人の副食を摘むとか、
夏でしたので時間外に体を拭いたのです。


見事一発で処遇(警察)へ連行されます。
3週間ほどで釈放されて工場に戻ってきました。
違反の動機を聞かれて、独居に行きたかったからと言ったので、
見事、独居に展望になりました。


ナルコレプシーが原因でカードを他人に譲渡で3年

40代の男で、結婚してましたが離婚しています。
娘がいますが母親に引き取られています。

彼は眠り病とも言われるナルコレプシー患者です。
ナルコレプシーは、直訳としては「Narco=眠り」「Lepsie=発作」を意味するため、「眠り発作」となります。
周囲から見た患者の様子から「居眠り病」「過眠症」とも呼ばれる事があります。
一般への知名度が極めて低いうえ、専門医が少ないため、患者に対する正しい診断・治療が受けにくいことや、
まわりの人間からの理解が得られないなど、患者には精神的にも大きな負担がかかっている病気です。

ナルコレプシーは、ノンレム期を経た後で発生するレム睡眠が入眠直後に発生し、入眠時レム睡眠期 (SOREMP) が出現するため、
入眠時に金縛り・幻覚・幻聴の症状が発生するようです。
更に夜間はレム睡眠とノンレム睡眠の切り替わりで中途覚醒を起こすため、
目は覚めても体を動かそうとする脳の一部が眠っているために金縛りを体験することにもなるとのことです。
入眠後から起床時までは、そのような状況のため概して睡眠が浅くなりやすくなり、夢を見る回数が増えるそうです。


日本の患者数はおよそ2000人前後ですが、珍しい病気ではなく、日本では600人に1人程度(0.16%)と想定されていて、
世界の有病率の平均は2000人に1人程度(0.05%)で、その4倍近い日本人の有病率は世界最高であると言われています。


彼はナルコレプシーを発病し、仕事ができなくなり、失業してしまい離婚しています。
飲食店や焼き鳥などの仕事をしますが仕事が続かず、
あるとき友達に頼まれ自分の預金通帳のカードを譲り5000円ほどの謝礼をもらったので、
収入がなおこともあり、カードを作って今度は1万円で譲ったことで逮捕されています。
今ある通帳のカードを譲渡するだけでしたら執行猶予が付いたそうですが、
新しく作って譲渡したことが重罪となり3年の実刑です。状況は理解できます。


工場で作業中にも、ナルコレプシー症状は出ますが、珍しく猿人が理解を示して処遇(警察)にはなっていません。
彼は出所後の生活を真剣に考えています。
残念ですが、ナルコレプシーの治療方法は確率しているわけではないので完治しないと思います。
働けなければ生活保護ですが、彼は娘や別れた妻との復縁も考えていますので、仕事に就くことを真剣に考え相談してきますが、

答えることができません。
出所後を考え、工場も炊事工場や教育コースを申込みますが、ナルコレプシーがあるので認められないようです。


就労の意欲はあります。
なぜ犯罪を犯したかもはっきりしています。
更生意欲は十分あります。
問題は、ナルコレプシーを完治することです。
刑務所でも、ナルコレプシーを完治する治療をこれといってやってくれません。


身元引受人には母親がなってくれますから2年ちょっとで仮出所できると思います。
でも心配です。
収入がなければ、どうなるでしょう。
どうすればいいでしょう。


刑務所は病院じゃないと言いそうですね!
養老院は提供できても、病院機能は提供しませんか。
これほど明確な処方原因がわかっていてもですか。


そりゃあんまりだ!


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